呼吸は、身体にとって欠かせない基本的な機能です。通常は鼻呼吸が最も自然で健康に良い方法ですが、状況によっては口呼吸になってしまうこともあります。一見無害に思える口呼吸ですが、実際には口腔内と呼吸器の両方に悪影響を及ぼす可能性があります。

口腔への影響

口呼吸がもたらす代表的な影響のひとつが、歯や顔の成長・発育への悪影響です。口呼吸をしていると舌が低い位置に下がりやすく、上顎や下顎の正常な発育や歯列の整列を妨げることがあります。その結果、歯列不正（不正咬合）やかみ合わせの異常につながります。

また、口呼吸は歯ぐきの炎症（歯肉炎）の原因にもなります。唾液の分泌が減ることで細菌が繁殖しやすくなるため、歯周病の進行を促す原因となります。

さらに、口臭（口腔内の不快なにおい）も口呼吸により悪化しやすくなります。口の乾燥や細菌の増殖により、においが強くなり、日常生活や対人関係に影響を及ぼすことがあります。

呼吸器への影響

口呼吸は呼吸器系にも悪影響を与えることがあります。鼻を通さずに直接空気を吸い込むため、鼻が本来持つ「加湿」「加温」「フィルター」としての働きが機能せず、細菌や異物がそのまま肺に入り込みます。その結果、風邪や気管支炎、肺炎といった呼吸器感染症にかかりやすくなります。

また、口呼吸は睡眠中のいびきや睡眠時無呼吸症候群の原因にもなります。口を開けて眠ることで気道が塞がれやすくなり、呼吸がしにくくなっていびきや無呼吸の発生につながります。

まとめ

口呼吸は、口腔内と呼吸器の健康の両面に悪影響を与える可能性があります。むし歯や歯周病を防ぐために適切な口腔衛生を保ち、歯科医院での定期検診を受けることが大切です。また、睡眠時に呼吸の異常を感じる場合は耳鼻咽喉科などの専門医に相談しましょう。できる限り鼻呼吸を心がけることが、最も健康的で安全な呼吸方法です。