はじめに

矯正治療でブラケットを外した後、多くの患者様が「歯はまたズレてしまうのか？」と不安に思われます。答えは 「はい」 であり、この現象は「後戻り（リラプス）」と呼ばれています。本記事では、その原因と予防のための方法について解説いたします。

後戻りの要因

矯正で整えた歯が元の不正咬合の状態に戻ろうとする傾向には、さまざまな要因が関わっています。代表的なものは「歯周組織」「歯ぐき（歯肉）」「かみ合わせ」に関連する要因です。

• 歯周・歯肉の要因：歯ぐきや歯を支える骨の健康状態が良くない場合、歯が安定せず再び動いてしまう可能性があります。

• 咬合（かみ合わせ）の要因：上下の歯のかみ合わせが安定していないと、歯並びの安定性に大きく影響します。

加齢による変化の影響

矯正治療後に歯が動くもう一つの理由は、加齢に伴う自然な変化です。年齢を重ねると、骨の吸収や口腔内の構造変化により歯が少しずつ移動することがあります。ある程度は避けられない現象ですが、予防的なケアでコントロールすることが可能です。

リテーナー使用の重要性

矯正治療後の後戻りを防ぐには、患者様自身の協力が不可欠です。特に「リテーナー（保定装置）」を正しく使うことが大切です。リテーナーを継続して使用することで、歯が元に戻るのを防ぎ、治療で得られた結果を長期的に維持できます。

使用頻度や期間については、必ず矯正歯科医の指示に従う必要があります。指示を守らずにリテーナーを使わないと、部分的または完全な後戻りが起こる可能性があります。

まとめ

矯正治療後でも歯が再び動いてしまう可能性はありますが、リテーナーを正しく使用すればリスクを大きく減らせます。さらに、歯周・歯肉の健康を維持し、加齢による変化を意識したうえで予防ケアを行うことが、長く美しい歯並びを保つ秘訣です。